不動産投資は空室で即赤字——キャッシュフロー収支シミュレーション3パターン

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不動産投資は空室になると即赤字——キャッシュフローのリアルを数字で計算する収支シミュレーション

「家賃収入が入ってくるから不動産投資は安心」と思っていませんか?実際には、空室になった瞬間から収入はゼロになる一方でローン返済・管理費・税金の支出は止まりません。この記事では、不動産投資のキャッシュフローを実際の数字で計算し、満室時・空室時・金利上昇時の3シナリオで収支の現実を明らかにします。

目次

  1. キャッシュフローとは何か——利益と現金は別物
  2. 見落としがちな「隠れコスト」全一覧
  3. 収支シミュレーション3パターン
  4. 空室1ヶ月でいくら損するのか——リアル計算
  5. キャッシュフローをプラスにするための原則
  6. まとめ

キャッシュフローとは何か——利益と現金は別物

不動産投資でよく使われる「利回り」は、あくまで家賃収入の割合を示す数字です。実際に手元に残る現金(キャッシュフロー)とは別物であることを、まず理解する必要があります。

キャッシュフローの基本計算式

不動産投資のキャッシュフロー(CF)は以下の式で計算します:

CF = 年間家賃収入 − ローン返済額(元本+利息) − 運営経費

「運営経費」には、管理委託費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税・火災保険料・入居者募集費用など複数の項目が含まれます。これらを全部引いた後に手元に残る現金がプラスかどうか——それがキャッシュフローです。

「帳簿上の黒字」でも現金は足りなくなる

ローンの元本返済は税務上の経費になりません。そのため、確定申告では利益が出ているように見えても、実際の手元現金はマイナスになっている、という事態が起こります。これを「黒字倒産」と言い、不動産投資でも同じ構造が発生しえます。キャッシュフローは税務の利益計算とは別に、必ず現金ベースで確認することが重要です。

見落としがちな「隠れコスト」全一覧

収支シミュレーションをする前に、不動産投資でかかるコストを全て把握しておきましょう。多くの失敗者が「こんなコストがかかるとは思わなかった」と後悔しています。

毎月・毎年かかる固定コスト

項目 目安 備考
管理委託費 家賃の5〜10% 管理会社に支払う。自主管理なら不要だが手間がかかる
修繕積立金 月5,000〜15,000円 区分マンションは管理組合へ毎月支払い。築年数で増額される
固定資産税・都市計画税 年10〜20万円 物件評価額により異なる。毎年4月に課税
火災保険料 年1〜3万円 ローン契約の条件として加入必須のことが多い
ローン返済(元本+利息) 物件・条件による 空室でも毎月発生。変動金利は金利上昇で増える

不定期に発生する変動コスト

項目 目安 備考
入居者募集費用(AD) 家賃1〜2ヶ月分 仲介業者への広告料。都市部でも1ヶ月以上かかることも
原状回復・リフォーム費 10〜50万円 退去のたびに発生。クロス・クリーニング・設備修繕
設備交換費 10〜30万円 給湯器・エアコン・水回りは10年前後で寿命を迎える
大規模修繕の一時金徴収 50〜200万円 修繕積立金が不足した場合に管理組合から徴収される
空室期間の損失 収入ゼロ+費用継続 平均退去〜次入居まで1〜3ヶ月かかることも

収支シミュレーション3パターン

では実際の数字で見てみましょう。以下の前提条件で3つのシナリオを計算します。

【前提条件】
物件:都内中古ワンルームマンション
購入価格:2,500万円(頭金500万円・借入2,000万円)
家賃:月85,000円(満室時)
借入金利:2.0%(35年ローン)
月々のローン返済額:約66,000円

シナリオ①:満室・金利変動なし(理想ケース)

項目 月額 年額
家賃収入 +85,000円 +1,020,000円
ローン返済 −66,000円 −792,000円
管理委託費(家賃7%) −5,950円 −71,400円
修繕積立金 −8,000円 −96,000円
固定資産税・都市計画税 −12,500円 −150,000円
火災保険料 −1,500円 −18,000円
月次キャッシュフロー +約−8,950円 −107,400円/年

「満室でも年間約10万円の赤字」というのが、この物件の現実です。退去・空室・修繕が一切ない最良条件でこの数字です。

シナリオ②:年1ヶ月空室+退去時リフォーム費15万円(現実ケース)

項目 年額
家賃収入(11ヶ月分) +935,000円
ローン・管理費・税金(固定費) −1,127,400円
リフォーム費 −150,000円
入居者募集広告費(家賃1ヶ月) −85,000円
年次キャッシュフロー合計 −427,400円(月換算 約−35,600円)

現実的な「年1回退去・1ヶ月空室」を想定すると、年間約43万円の持ち出しになります。毎月3〜4万円、自分の財布から補填し続けることになります。

シナリオ③:金利1%上昇+2ヶ月空室(最悪ケース)

項目 年額
家賃収入(10ヶ月分) +850,000円
ローン返済(金利3%に上昇) −940,800円
管理費・税金・保険(固定費) −335,400円
リフォーム費+広告費 −235,000円
年次キャッシュフロー合計 −661,200円(月換算 約−55,100円)

金利上昇と空室が重なると、年間66万円以上の持ち出し。毎月5万円以上を赤字補填するだけの状態です。これが「不動産投資で追い詰められる」ケースの実態です。

空室1ヶ月でいくら損するのか——リアル計算

空室の恐ろしさは「収入ゼロ+支出継続」という非対称な構造にあります。具体的に計算してみます。

空室1ヶ月あたりの実損額

  • 家賃収入の損失:−85,000円
  • この月もローン返済は発生:−66,000円
  • 管理費・修繕積立金:−13,950円
  • 固定資産税・保険(月割):−14,000円
  • 合計:この1ヶ月で約17万円の現金が消える

「空室になった月の損失=家賃収入ゼロ」ではありません。家賃が消えた上に、ローン等の固定費がかかり続けるため、実質的な損失は家賃2ヶ月分に相当します。

空室が続くと何ヶ月で自己資金が底をつくか

仮に生活費の余裕資金が100万円しかない状態で空室になった場合:

  • 毎月の持ち出し(固定費のみ):約9万円
  • 100万円 ÷ 9万円 = 約11ヶ月で底をつく

11ヶ月後には「売りたくても売れない・支払いもできない」状態になりえます。不動産投資を始める際には、最低でも6〜12ヶ月分の固定費相当の手元資金を確保しておくことが不可欠です。

全国の空室率と平均空室期間

「うちは大丈夫」と思っていても、統計では全国の賃貸物件の空室率は平均13〜18%程度とされています。東京23区内でも5〜8%程度の空室率があり、退去から次の入居者が決まるまで1〜3ヶ月かかることも珍しくありません。「満室が続く前提」での計画は、現実から乖離しています。

キャッシュフローをプラスにするための原則

厳しい現実を知った上で、それでも黒字化できる不動産投資の条件を整理します。

原則①:イールドギャップを最低2%確保する

実質利回りから借入金利を引いた「イールドギャップ」が2%以上あることが、プラスCFの目安です。借入金利2%なら実質利回り4%以上、金利が3%なら5%以上が必要です。新築ワンルームの実質利回り2〜3%台では、ほぼ確実にCFはマイナスになります。

原則②:頭金を増やしてローン返済額を下げる

物件価格の30%以上を頭金にすることで、毎月のローン返済額を大きく下げられます。フルローンは自己資金を残せる反面、CFが赤字になりやすい構造になります。頭金の増額がCF改善の最も確実な手段のひとつです。

原則③:空室・修繕・金利上昇を織り込んで計算する

シミュレーションを作る際は、以下の3つを必ず織り込みます:

  • 空室率5〜10%(年1〜1.2ヶ月の空室)を想定
  • 退去リフォーム費(年間平均10〜20万円)を想定
  • 金利1%上昇したときの返済額増加を計算

この3条件を入れてもプラスになる物件だけを購入対象にすることが、失敗しないための最低ラインです。

原則④:手元資金の「安全バッファ」を確保する

投資用の頭金とは別に、固定費6〜12ヶ月分の手元現金を確保しておきましょう。これがあるとない場合では、空室・修繕が重なったときの精神的・経済的な耐久力が大きく違います。不動産投資は「耐える力」がある人が生き残ります。

まとめ

  • 不動産投資のキャッシュフローは「家賃収入−ローン−管理費−税金−修繕費」で計算する
  • 空室になった瞬間、収入はゼロになるが支出は止まらない——1ヶ月の実質損失は家賃2ヶ月分相当
  • 今回の前提物件では、満室でも年間マイナス10万円・現実ケースでマイナス43万円・最悪ケースでマイナス66万円という結果になった
  • シミュレーションには必ず「空室5〜10%・退去リフォーム・金利1%上昇」の3条件を織り込む
  • CFをプラスにするには実質利回り4〜5%以上・イールドギャップ2%以上・頭金30%以上が目安
  • 投資資金とは別に固定費6〜12ヶ月分の手元現金を確保してから始める

不動産投資は正しい数字を把握していれば怖くありません。怖いのは「なんとかなるだろう」という根拠のない楽観です。今回のシミュレーションを参考に、自分が検討している物件の数字を必ず自分の手で計算してみてください。

※本記事は情報提供を目的としており、投資を勧誘するものではありません。
投資は自己責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。
不動産投資にはリスクがあり、元本割れとなる可能性があります。